2011年8月20日北海道大学農学部前 にて
このページは携帯からは正常に表示できません。PC環境でご覧下さい。北大マルシェに福島県産のモモが届けられる。そう聞いたとき、大学発マルシェで販売する場合、ただ売るだけでいいのかという思いがわき上がりました。食品に含まれる放射性物質に関するリスクコミュニ ケーションの問題があったからです。
マルシェ担当の小林国之先生に相談し、北大(農業経済)出身で福島大学の小山良太先生と検討した結果、福島県のモモの現状を来た人たちに聞いてもらって語り合う場を設けることにしよう、ということになりました。
農林水産省や福島県のHPを見ると分かるのですが、抜き取り調査によるモモ1Kgに含まれる放射性セシウム(137, 134)は100ベクレルを超えるものは多くはなく、国の基準の十分の一程度のものが大半で、検出できなかった(ND)モモも多数あります。しかし残念なことに、いま目の前に並んでいるこのモモはNDなのか50ベクレルなのか、それとも490ベクレルなのか分からないのです。
農家の苦悩を思うと同時に、消費者の戸惑いもまた大きいと思います。 私は食べるが孫には食べさせたくない、となるわけです。
そこで先ず、消費者と生産者が対立してしまう構図は避けたいという視点をお持ちの小山先生から、 福島県の農作物の現状(特にモモ)について報告していただきました。
次いで、作家の森久美子先生にお願いし、JA伊達みらいの佐藤亮課長と 小山先生のお話しの聞き手になってもらいました。森先生は、農林水産省食料・農業・農村政策審議会委員でもあり、JA伊達みらいの主催する講演会に講師として出られたことがあります。
三人の語りあいを聞いた後で、応援と戸惑いで揺れ動く消費者の視点をくわえて、参加者全員による意見交換を行いました。
色々な話になりましたが、モモを潰さずにセンサーで個別に検査できる技術開発を望む、という声が高まりました。
締めくくりは小林先生にお願いしました。
なお、「福島からの報告」は、5月に一度小山先生を囲んで報告会をしているので、第2回目ということになります。今後、こういった報告会を重ねられていければと考えています。
この催しは北海道新聞(21日)、朝日新聞(21日)、日本農業新聞(22日)に掲載されましたし、STV(22日)等でも放映されました。
吉田省子(よしだせいこ)
北海道大学大学院農学研究院 学術研究員
(RIRiCはなしてガッテンプロジェクト) http://www.agr.hokudai.ac.jp/riric/