3大学が連携して行う人材育成のプログラムは学生向け、一般(社会人)向けの2つのコースと、
地域の要望に応じて行うセミナーがあります。
21世紀に生きる私たちの「食」をとりまく環境は、非常に大きく変化してきました。「専門化」「細分化」を進めてきた20世紀の科学技術の成果として、農業は飛躍的に生産力を増強させ、大量生産・流通・消費型のフードシステムの中で我々の食生活は質量とも豊かなものになりました。しかし現在、「食の安全・安心」を脅かす様々な事件や、人々の不安が生じているのはなぜでしょうか。
22年度から開講する「食の安全・安心基盤学」は、そうした「食」に関する多くの課題を解決するため、安全・安心を実現する「基盤」としての循環型農業生産と地場型食品加工・流通を中心に、生産から消費に至るシステムの全体をとらえ、地域・社会への貢献を目指す実践的な学問です。
今日、高い専門性とともに幅広い知識と実践力を持った人材が地域・社会から求められており、特に「食の安全・安心」に関わる分野についてその必要性は近年ますます高まっています。本コースは、大学院において自分の専門以外にも自然科学・社会科学・人文科学にわたる幅広い知識を身につけた人材の育成を目標としています。
必要な単位要件を満たしディプロマを取得した受講生は、①生産から消費に至る様々な場面における食の安全・安心のコーディネーターとして、②食品産業分野では原料調達・製造管理者として、③行政・自治体では地域農業振興を担う人材としての活躍が期待されます。
さらに、「食の安全・安心」の基盤となる農村に飛び出して「フィールドワーク」を行います。
科学的な知識と自らが得た経験を結びつけ、自分の頭と身体で考えることで、地域の課題を解決できる力を身につけることができます。
北海道の農学系大学である酪農学園大学、北海道大学、帯広畜産大学の連携により、各大学が持つ研究実績、教育ノウハウを効果的に組み合わせた講義が受講できます。また、地域の実態や抱えている課題という生きた教材をもとにして、食の安全・安心を担う人材を育成します。
3大学間や遠隔地にある農村現場との距離を克服するために導入されたシステムです。他大学で行われる講義は、指定された教室に行けば大画面のテレビ・スクリーンで受講することができます。また、リアルタイムで教員への質問や他大学生との討論を行うことができます。
すべての講義の動画や資料は本コースのWebサイトに収録・保存されます。当日やむを得ない事情で欠席した場合の代替受講のほか、講義の復習や予習ビデオの視聴にも活用できます。
基盤学ⅠとⅡでは、テレビ会議システムを活用し、一つのテーマについて複数の教員が行う討論形式の講義も盛り込みます。同じ社会問題・現象でも、教員の立場や専門によって様々な考え方、意見の違いがあることを知り、問題を複眼的に捉える力を養います。