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Archive for the '酪農学園大学' Category

放牧酪農講座開設

Posted on 01 7月 by 酪農学園大学 | パーマリンク

地域農業振興支援としての放牧酪農講座の開設と推進
―浜中サテライトー

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 浜中町は、地域条件から酪農と水産業を中心とする第一次産業の町である。特に酪農は農協が中心になって先駆的な多くの取り組みを行っていることで全国的にもその名が知られている。
 特に農協と酪農学園大学とは、連携協定を結び振興計画の策定や大学が取り組んでいる実践酪農学コースの学生を積極的に受け入れるなど関係が深い。

 2年前に農協は今後の地域酪農の展開方向として牧草地資源の有効活用と放牧を積極的に推進するということを宣言し、現在その整備事業を行っており酪農家の7割が放牧導入を行う計画である。このようなことから、大学連携事業の第一号として浜中サテライトを設置した。
 サテライト側からのニーズの中で緊急性のある項目と大学が当面即応できる支援として放牧事業を取り上げた。前年度に第1回を行い、今年度には2回開催し都合3回の「放牧酪農講座」を開催している。講座は毎月1回を基本としている。

houboku3  講座の内容は、できるだけ現地の情報に基づいた実践的な内容にすることに留意している。
 分析センターの土壌や牧草の成分分析値を有効に活用し、同時に地域において先駆的に放牧を行っている農家の実践発表も組み合わせて各農家が放牧に関するより有効で実践的な情報を共有できるように配慮している。
現在までの放牧酪農講座の内容と参加者は以下のとおりである。

第1回(3月24日)テーマ「北海道酪農の飼料問題と資源循環型酪農」、参加者34名。
 主な内容:北海道酪農における規模拡大と飼料給与の実態、資源循環型酪農の生産技術
 と収益性、浜中地域粗飼料分析(サイレージ・生草)の実態と解析。

第2回(4月24日)テーマ「放牧について基礎的な考え方について」参加者26名。
 主な内容:浜中地域牧草地土壌分析値の解析、放牧地土壌の特質(土壌小動物・各種微
 生物の働き)、放牧草養分含有率と季節変化、放牧のメリット・デメリット、年間飼料給与計
 画モデルと自給飼料生産計画。

第3回(6月2日)テーマ「輪換放牧の基本的な考え方と施設」、参加者23名。
 主な内容:輪換放牧の牧区面積の設定と編成計画、放牧施設(牧道・牧柵・水槽)の重要
 性とその考え方、輪換放牧の実践2経営(フリーストール・タイストール)の放牧方式についての発表。
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 今後も地域の多様な放牧実践例の発掘と併せて道内の先進経営等の情報収集を行い、浜中地域における効果的な放牧経営モデルの構築を目指した支援を継続する計画である。放牧を中心としながら地域牧草資源の活用による自然循環型で地域の生態系に配慮した多様な酪農経営の確立を目指したいと考えている。

 なお、当講座には村木智弘氏(2008年ニュージーランド・リンカン大学にて放牧研究により農学修士号取得、中標津町在住)の多大な協力を得て実施していることを付け加えておきたい。

-連続講演会「ふゆみずたんぼと生きもの調査」第2弾-

Posted on 26 6月 by 酪農学園大学 | パーマリンク

田んぼの「生きもの」調べてみました
-連続講演会「ふゆみずたんぼと生きもの調査」第2弾-

「ふゆみずたんぼ」を実際に行っている水田に入り、田んぼの土の中の生き物もの、用水路の生きものの種類と数を調べた。30数名の学生が参加し、NPO法人生物多様性農業支援センター田んぼの生きもの調査インストラクター橋部佳紀さんの指導で調査。

090626-12 大学の授業では経験できない「生きもの」の観察と調査に学生たちが真剣に取り組む。
(決められた地点で泥を採取)

090626-22 図鑑に照らし合わせながら「種」を確認、初めてみる「生きもの」には歓声もあがる。

090626-3 インストラクターの橋部さんもこの田んぼで初めてという絶滅危惧種IB類に指定されている「エゾホトケドジョウ」も見つかる。

田んぼで16種、用水路で14種の生息を確認。調査結果を基に、橋部さんから、水田環境と生き物の関係、水田の管理方法が生き物にどのような影響を与えているかの説明を受ける。田んぼの土壌中で最も多く生息していたのは「イトミミズ」で10aあたり約1,500万匹でした。

090626-4 水田とビオトープ

090626-5 橋部さんの説明をみんなで聞く

第3回農経シンポが開催されました

Posted on 26 6月 by 帯広畜産大学 | パーマリンク

 第3回農経シンポが6月25日に開かれました.今回は,北海道農業研究センターの関根研究員と帯広畜産大学の齋藤研究員がそれぞれ,「水田・畑作経営所得安定対策下における畑作経営の意向調査」,「エコフィードを給与して生産した豚肉に対する消費者の評価」というテーマで報告を行いました.

 これまで,水田・畑作経営所得安定対策のもと,農家がどのように作付を変えるかについて盛んに研究がされてきました.一方,今回の報告は,既存の作物に加え,新たにどのような作物を栽培したいかを農家に調査したものです.

 その結果,新しい作物を導入したいと考えている農家は全農家中1/3と少ないものの,大豆,緑肥,アスパラガスを新たに始めたいと考えている農家が多いことが示されました.さらに,国や農協に期待することとして,新品種開発や普及,機械の開発が挙げられました.

 次の報告では,食品廃棄物由来の飼料(エコフィード)が,消費者からどのような評価を受けているかについて,分析結果が報告されました.現在,年間1135万トンもの食品が廃棄されており,その有効利用が求められています.
 
 一方,日本の飼料自給率は20%台と低迷していることから,食品廃棄物を飼料として再利用することで,自給率の向上に貢献すると期待されています.しかし,食品残渣を飼料として用いることから,消費者の食肉に対する評価が低下するのではないかと懸念する農家も多く,エコフィード普及の妨げとなっています.
 
 そこで,エコフィードを給与して生産した豚肉に対する消費者の評価を,表明選考法を用いて分析した結果,一部の消費者からは否定的な評価を受ける一方,エコフィードが循環型社会の実現に貢献することから,資源リサイクルに関心が高い消費者からは肯定的な評価を受けていることが明らかとなりました.また,今後エコフィードの普及のためには,安全性が確保されていることを消費者に周知した上で,消費者のリサイクル意識を高めることが重要であることが示されました.
第3回農経シンポ

別海町訪問

Posted on 22 6月 by 帯広畜産大学 | パーマリンク

 6月19日から20日にかけて別海町を訪問しました.今回の訪問先は,マイペース酪農交流会,農協や役場などです.

 放牧を主体とした酪農家が集まるマイペース酪農交流会では,牧草に含まれる硝酸イオンの濃度測定を行い,放牧地の土の状態や牧草の根の張り方などを観察しました.酪農家で研修中の方や就農して間もない酪農家なども参加しており,交流会が情報交換や技術普及の場として有効に機能していることがうかがえました.

 次に,農協と役場で,連携事業についての打ち合わせを行いました.主に,別海町で既に行われているクミカン分析プログラムの改善やクミカンデータベースの更新についてと,地域農業振興計画策定に当たっての連携センターの取り組みについて話し合いました.

土の状態を観察
放牧地の土の状態を観察

連続講演会「ふゆみずたんぼと生きもの調査」

Posted on 22 6月 by 酪農学園大学 | パーマリンク

連続講演会「ふゆみずたんぼと生きもの調査」
「生きもの調査の意義と調査方法」―田んぼ・農業・農村・地球―

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 地域拠点型農学エクステンションセンター(3大学連携センター)がNPO法人生物多様性農業支援センター・酪農学園大学農業経済学科・NPO法人民間稲作研究所・NPO法人田んぼ・創地農業21との共催で、「ふゆみずたんぼと生きもの調査」講演会を開催。

 
iwabuchisi2 1回目を6月17日「生きもの調査の意義と調査方法」―田んぼ・農業・農村・地球―と題してNPO法人生物多様性農業支援センター副理事長岩渕成紀さんの講演会開催。
 水田は顕微鏡で観察するような微生物から爬虫類・鳥類まで多様な生物の住処であり、管理の仕方で生息数が大きく変動することを、映像を交えて調査事例を基に講演。  

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  また、ラムサール条約水田決議「湿地システムとしての水田の生物多様性の向上」が採択されたことを紹介。

 水田が単に米の生産としてだけでなく、湿地システムとして機能を持ち、そこでの生物多様性が人々の健康や幸福に大きく貢献していることを強調。水田の適切な管理と利用によってその機能を保持・向上させることが生態的・文化的役割を果たしていくうえで重要となっていると締めくくった。


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 ↑ (株)アレフの橋部さんによる道具の説明


 次回は6月24日に実際に水田に入り、「生きもの」の生息を調査し、水田の生物多様性・多面的機能を学ぶこととしている。