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Archive for the '研究会' Category

―クミカン分析プログラムの効果と課題―JA浜中町で研修会を開催

Posted on 16 9月 by 酪農学園大学 | パーマリンク

 本事業で連携している(社)北海道地域農業研究所と酪農大とで開発してきた「クミカン分析プログラム」は、すでに試験的に、他の農協で使用されてきました。データベースが充実している浜中町では、「クミカン」という経営収支だけではなく、技術を含めて分析を充実させる事が出来ます。
 9月7日の研修会では、プログラムの使用事例をもとに、「何が分析できるか」、「どの活用すべきか」を紹介しました。研修会にはJAの経営コンサルティングを担当する職員が参加しました。単に、データを農家に示すだけではなく、農家の主体的な参加、改善しようとする意識、JAとして進める改善の方向などを明確にしながら、活用することの重要性を示しました。

 現地で経営改善に役立つプログラムに改善するには、実際に利用することが大切です。営農相談に携わる方々が、実際に課題を整理して活用された分析、必要とするデータを、実践から明らかにしていく作業が必要になります。こうした実践的な取り組みをもとに、プログラム開発を進めていくのが、この3大学連携事業の取り組みの一つです。

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← 吉野先生によるクミカン分析
  プログラムを使った説明

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会場となった浜中町農協の会
議室には23名の方が参加→

第4回農経シンポが開催されました

Posted on 31 7月 by 帯広畜産大学 | パーマリンク

 第4回農経シンポが開かれました.今回の報告者は明治飼糧の畠山さんと帯広畜産大学の仙北谷先生でした.

 まず,酪農における経営継承問題について,畠山さんから報告していただきました.現在,農業従事者の高齢化に伴い,農業の担い手不足が大きな問題となっています.

 北海道の酪農も例外ではありませんが,近年,法人経営が増えたこともあり,従業員による継承や近隣の酪農法人と合併するなどして,経営を継承するケースが見受けられます.今後,こうした事例が増えることで,農地の集積が進み,更なる規模の拡大が期待されます.

 次に,ポーランドとチェコの青果物流通システムについて,仙北谷先生から報告がありました.中欧諸国は市場経済化に伴い,青果物流通システムが大きく変化しました.その中核施設として,卸売市場が整備されましたが,期待されたほどには機能していません.

 本研究は,社会主義時代の農地制度がその原因であることを明らかにしました.すなわち,ポーランドでは,小規模な土地所有が維持され,農作物の大部分が自家消費に回されるため,量販店への対応が困難な状態でした.一方,チェコでは,大規模な借地化が進み,卸売市場を介さず量販店と直接取引を行う傾向にありました.

 次回の農経シンポは9月に行われる予定です.

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第4回農経シンポ

Posted on 15 7月 by 帯広畜産大学 | パーマリンク

第4回農経シンポ第4回農経シンポを次のとおり開催いたします.

報告者:畠山尚史(明治飼糧)・仙北谷康(帯広畜産大学)
日時:7月30日(木) 午後1時半から
場所:帯広畜産大学 総合研究棟1号館2階 E2503

報告タイトル・要旨
(1) 畠山尚史:酪農の担い手問題と経営継承スタイルの多様性

 近年の酪農全国基礎調査から,後継者が決まっている経営は25%に過ぎない.都府県の離農率が高まっているが,後継者が確保できないことが主要因である.北海道においても同様の傾向がみられつつある.

 農業における経営継承を考えた場合,”担い手”と称されるように,経営を継ぐ者の解釈が広義になっている.これは従来の家族経営型の継承パターンから法人継承,農業者の農業関連会社の設立,農外資本の参入などの動向から継承パターンが多様化しつつある.

 今回の報告では,酪農の経営継承問題を切り口に,今後想定される経営継承のスタイルについて考察することを目的とする.

(2) 仙北谷康:市場経済システム導入後の旧社会主義国の青果物流通

 本報告では,主としてチェコ共和国とポーランドにおける青果物流通構造の比較分析を通して,青果物流通構造とそれを規定する要因の関連を実証することである.ほぼ同時期に市場経済システムを導入したこれらの国々も,現在の青果物流通システムは大きく異なる.

 これは計画経済システム下における土地所有や食糧管理の仕組み,また工業化・都市化の程度などの社会経済構造は一様ではなかったのであり,体制変換後もその影響を強く受けているからである.

放牧酪農講座開設

Posted on 01 7月 by 酪農学園大学 | パーマリンク

地域農業振興支援としての放牧酪農講座の開設と推進
―浜中サテライトー

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 浜中町は、地域条件から酪農と水産業を中心とする第一次産業の町である。特に酪農は農協が中心になって先駆的な多くの取り組みを行っていることで全国的にもその名が知られている。
 特に農協と酪農学園大学とは、連携協定を結び振興計画の策定や大学が取り組んでいる実践酪農学コースの学生を積極的に受け入れるなど関係が深い。

 2年前に農協は今後の地域酪農の展開方向として牧草地資源の有効活用と放牧を積極的に推進するということを宣言し、現在その整備事業を行っており酪農家の7割が放牧導入を行う計画である。このようなことから、大学連携事業の第一号として浜中サテライトを設置した。
 サテライト側からのニーズの中で緊急性のある項目と大学が当面即応できる支援として放牧事業を取り上げた。前年度に第1回を行い、今年度には2回開催し都合3回の「放牧酪農講座」を開催している。講座は毎月1回を基本としている。

houboku3  講座の内容は、できるだけ現地の情報に基づいた実践的な内容にすることに留意している。
 分析センターの土壌や牧草の成分分析値を有効に活用し、同時に地域において先駆的に放牧を行っている農家の実践発表も組み合わせて各農家が放牧に関するより有効で実践的な情報を共有できるように配慮している。
現在までの放牧酪農講座の内容と参加者は以下のとおりである。

第1回(3月24日)テーマ「北海道酪農の飼料問題と資源循環型酪農」、参加者34名。
 主な内容:北海道酪農における規模拡大と飼料給与の実態、資源循環型酪農の生産技術
 と収益性、浜中地域粗飼料分析(サイレージ・生草)の実態と解析。

第2回(4月24日)テーマ「放牧について基礎的な考え方について」参加者26名。
 主な内容:浜中地域牧草地土壌分析値の解析、放牧地土壌の特質(土壌小動物・各種微
 生物の働き)、放牧草養分含有率と季節変化、放牧のメリット・デメリット、年間飼料給与計
 画モデルと自給飼料生産計画。

第3回(6月2日)テーマ「輪換放牧の基本的な考え方と施設」、参加者23名。
 主な内容:輪換放牧の牧区面積の設定と編成計画、放牧施設(牧道・牧柵・水槽)の重要
 性とその考え方、輪換放牧の実践2経営(フリーストール・タイストール)の放牧方式についての発表。
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 今後も地域の多様な放牧実践例の発掘と併せて道内の先進経営等の情報収集を行い、浜中地域における効果的な放牧経営モデルの構築を目指した支援を継続する計画である。放牧を中心としながら地域牧草資源の活用による自然循環型で地域の生態系に配慮した多様な酪農経営の確立を目指したいと考えている。

 なお、当講座には村木智弘氏(2008年ニュージーランド・リンカン大学にて放牧研究により農学修士号取得、中標津町在住)の多大な協力を得て実施していることを付け加えておきたい。

第3回農経シンポが開催されました

Posted on 26 6月 by 帯広畜産大学 | パーマリンク

 第3回農経シンポが6月25日に開かれました.今回は,北海道農業研究センターの関根研究員と帯広畜産大学の齋藤研究員がそれぞれ,「水田・畑作経営所得安定対策下における畑作経営の意向調査」,「エコフィードを給与して生産した豚肉に対する消費者の評価」というテーマで報告を行いました.

 これまで,水田・畑作経営所得安定対策のもと,農家がどのように作付を変えるかについて盛んに研究がされてきました.一方,今回の報告は,既存の作物に加え,新たにどのような作物を栽培したいかを農家に調査したものです.

 その結果,新しい作物を導入したいと考えている農家は全農家中1/3と少ないものの,大豆,緑肥,アスパラガスを新たに始めたいと考えている農家が多いことが示されました.さらに,国や農協に期待することとして,新品種開発や普及,機械の開発が挙げられました.

 次の報告では,食品廃棄物由来の飼料(エコフィード)が,消費者からどのような評価を受けているかについて,分析結果が報告されました.現在,年間1135万トンもの食品が廃棄されており,その有効利用が求められています.
 
 一方,日本の飼料自給率は20%台と低迷していることから,食品廃棄物を飼料として再利用することで,自給率の向上に貢献すると期待されています.しかし,食品残渣を飼料として用いることから,消費者の食肉に対する評価が低下するのではないかと懸念する農家も多く,エコフィード普及の妨げとなっています.
 
 そこで,エコフィードを給与して生産した豚肉に対する消費者の評価を,表明選考法を用いて分析した結果,一部の消費者からは否定的な評価を受ける一方,エコフィードが循環型社会の実現に貢献することから,資源リサイクルに関心が高い消費者からは肯定的な評価を受けていることが明らかとなりました.また,今後エコフィードの普及のためには,安全性が確保されていることを消費者に周知した上で,消費者のリサイクル意識を高めることが重要であることが示されました.
第3回農経シンポ