道外サテライト視察報告その1~和歌山大学~
8月18日と19日、道外でエクステンション活動に取り組む二つの大学の視察に行ってきました。提案者である訓子府サテライト博士研究員・高梨子さん、これに畜大から博士課程・窪田さん、北大から札幌サテライト・松本の3名が参加しました。
現在、全国的に大学のサテライト設置が進むなど、様々なかたちでエクステンション活動が行われていますが、今回の視察先は和歌山大学と愛媛大学。ともに、地方都市や農村など「地域」をターゲットとしたエクステンション活動を行っており、同じく「地域拠点型」のエクステンションを掲げる我々の3大学連携にも有益な示唆を得る先進事例と捉えることができます。
この報告では、窪田さんの出張後の所感を中心に、各大学の取り組みに関する聞き取り内容や意見交換の様子を2回に分けて掲載いたします。
≪8月18日・和歌山大学≫
18日の午前中は、和歌山大学サテライト部特任助教の西川先生に、サテライト設置の経緯や現在の取り組み、課題などをお話いただきました。
和歌山大学は、早くからサテライト事業を展開し、地域ニーズに即した高等教育や生涯学習を実施されています。また、地域自治体や企業等と連携した地域活性化事業も行われており、自治体の施策に入って具体的なニーズを抽出したり、逆に専門家の意見を入れることで自治体内及び自治体間の連携をつなげていく、コーディネート的な役割も担っていたりと、地域密着コミュニティーという形を強調されていました。
そのために異業種交流の場として「なまけん会」の実施や地域シンクタンク「きのくに活性化センター」の事業を通して有機的な連携を作っているそうです。その中で、西川先生は、ただ地域が大学に依存するのではなく、地域のやる気を生かし、かつ大学側としても研究につなげられるような、両者にとってプラスの方向に働くような関係を構築する必要があるということをおっしゃられていました。一方で、これらの事業の成果を示すものとして、どういった項目が評価になるのかが課題となっているようです。
西川先生は、放課後活動と称して地域ボランティアにも貢献されており、人と人とのつながりを大切にされています。地域の意見を積極的に聞ける場への参加、また、そのような場の設置は、我々の活動においても重要になると思われます。
午後は田辺市に移動し、県立情報交流センター「ビッグ・ユー」内にある紀南サテライトにお邪魔し、施設の見学などをさせていただきました。施設内には図書館や科学実験施設もあり、多くの地域住民が集まれる場です。
紀南サテライトの授業は、その中の研修室などを利用して行われています。学部の授業を受講できたり、一定の単位を取得すれば修士の学位を取ったりすることも可能だそうですが、和歌山大学から直接先生が来られていること、他のサテライト施設と基本的に授業内容が異なることは、「サテライトオフィス」というより「情報発信基地」という意味合いが強いように思われました。